『すぐに役立つモンゴル語会話』番外編
モンゴル草原の国だより Vol.11
モンゴルの幼稚園 文:津田紀子
テンブックス刊行の「すぐに役立つモンゴル語会話」の編集をしてくれた 津田さんに、モンゴルの文化や生活、気になるトピックスを紹介してもらう コーナーです。 みなさまからのご質問もお待ちしています。 >>mongol@ten-books.jp

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5月も半ばを過ぎ、モンゴルもようやく草木が芽吹いてきました。また、モンゴルの5月は終業式&卒業式のシーズンでもあります。卒業式用の素敵なデールを着た女子学生がスフバートル広場で写真を撮っていたり、レストランで賑やかにお祝いをしていたりして、華やかな雰囲気に包まれています。

さて、今回は、モンゴルの幼稚園についてお伝えしたいと思います。

■ 幼稚園の数とシステム

現在、モンゴルには国全体で687(国立644、組織等の附属24、私立19)、ウランバートルには170(国立152、組織等の附属4、私立14) の幼稚園があります。※1

モンゴルの幼稚園は、3歳以上小学校入学前までの子どもたちが通い、年齢に達した子なら誰でも入園できます。保育時間は、国立だと月~金曜日の朝8時半から夕方17時半まで。保育料は、幼稚園ごとに異なりますが、だいたい国立で月額5000トゥグルク(約500円)、私立で高額なところだと月額 50000~100000トゥグルク(約5000-10000円)くらいだそうです。

社会主義時代には、国立の幼稚園しかなかったのですが、近年は私立の幼稚園が増 え、外国語教育や延長保育などの独自のカリキュラムで人気を集めています。

■ 幼稚園の生活

じつは我が娘もモンゴルの幼稚園に通っており、こちらの幼稚園生活を楽しんでいます。娘の通う幼稚園は、まだできて1年あまりの私立幼稚園。国立幼稚園は、1クラスの人数が25-30人と多く、夏休みも6~8月の3ヶ月間と長いのですが、この幼稚園は少人数制(1クラス15人程度)、夏休みなし、保育時間は20時まで、また1歳半からの保育も行われています。この幼稚園の子どもたちが、どんな生活を送っているのか、ちょっとご紹介しましょう。

・授業

この幼稚園では、学習にかなり力を入れています。下の一週間の授業プログラム表のうち、モンゴル語というのは言葉と文字、算数では数と計算を習います。


英語 先生の英語の指示にあわせてダンス
英語 先生の英語の指示にあわせてダンス
プログラムの中で、もっとも多くの時間が割かれているのが英語の時間で、1回20~25分の授業が週に4日もあります。また登園、降園時の挨拶や食事の挨拶も英語ですし、登園してきた園児に先生が「今日は寒かった?」などと英語で尋ね、子どもが英語で答えるなど、普段の生活の中でもできるだけ英語に触れさせるようになっています。「ちょっとやりすぎでは?」とも思われるかもしれませんが、登園時に「英語をがんばりなさいよ」と、親が子どもに声をかけたりしているのを見ると、親の期待は非常に大きいようです。

モンゴルは外国語の習得に熱心な人が多いのですが、国立幼稚園では外国語をほとんど教えないので、外国語教育の充実した私立幼稚園が人気を集めているのだとか。

ちなみに子どもたちに「どの時間が好き?」と聞いてみたところ「おもちゃで遊ぶとき」と「お外で遊ぶとき」がトップで、嫌いなのは「お昼寝」でした。

クラス活動 穴があいた服やくつの絵にひもを通す
クラス活動 穴があいた服やくつの絵にひもを通す
音楽 音楽の先生の伴奏にあわせて歌をうたう
音楽 音楽の先生の伴奏にあわせて歌をうたう

・一日のスケジュール

9時00分~ 登園
9時30分~ 授業
10時30分~ おやつ
10時40分~ クラス活動(工作など)
11時20分~ 自由遊び
12時30分~ 昼食・歯磨き・お昼寝準備
13時45分~ お昼寝
15時45分~ 起床・体操
16時00分~ おやつ
16時30分~ クラス活動(詩やお話に親しむ)
17時00分~ 造形
17時40分~ 夕食(18時以降、親が迎えに来はじめる)
18時10分~ 自由遊び
19時00分~ 読書
19時30分~ 降園

・一週間の授業プログラム(4歳児クラス)

月曜日 英語 モンゴル語
火曜日 英語 算数
水曜日 英語 モンゴル語
木曜日 体育 算数
金曜日 英語 図工 音楽&ダンス

・発表会

この幼稚園では、年に数回、子どもたちの学習成果を発表する発表会が開かれます。先日も発表会があったので、さっそく見て来ました。

4歳児クラスは、モンゴル語や英語の歌をうたい、「おおきなかぶ」の英語劇を演じました。子どもたちが英語の台詞をよく覚えているのには感心してしました。

また、算数、モンゴル語、図工の学習の理解と達成度を、子どもごとに点数化した表が、壁に掲示されていました。日本ですと賛否両論でしょうが、モンゴルでは小さな頃から競争させるようで、どの親も熱心に自分の子どもの成績を見ていました。

発表会 青いマントとお面以外は自前の衣装
発表会 青いマントとお面以外は自前の衣装
それと発表会当日、娘には落ち着いた色の清楚なワンピースを着せたのですが、モンゴルの子どもたちを見て、びっくり!男の子は、スーツに蝶ネクタイ、女の子はまるでウエディングドレスのような豪華なドレスを着ているのです。なかにはパールのネックレスや口紅をつけている子も。清楚なワンピースでは地味すぎて、かえって浮いてしまったような感じです。これもお国柄なのでしょうか。

・給食

モンゴルでは、国立でも私立でも、給食が出る幼稚園がほとんどです。朝のおやつ、昼食、午後のおやつに加えて夕食も出るんですよ。この幼稚園では、たいていの親が18時以降迎えに来るので、子どもたちは夕食を食べてから帰宅します。

下の写真は、ある日の昼食です。日本人からするとちょっと野菜が少ないように思いますが、モンゴルは野菜が少ないですし、もともと野菜をあまり食べませんから、これは仕方ありません。私も味見したのですが、ボリュームもあって、とてもおいしかったです。子どもたちも、立ち歩いたり騒いだりすることもなく、おかわりをしたりして、おいしそうに食べていました(ただし幼稚園によって質はさまざま。あまりよくないところもあるのだとか)。


昼食 うどん(肉、ジャガイモ、ニンジン入り)
昼食 うどん(肉、ジャガイモ、ニンジン入り)
マッシュポテトとカツレツ
マッシュポテトとカツレツ

それでは、今回はこのへんで。

※1(Bolobsrol, soyl, urlag, shinjlekh ukhaan, tekhnologiin salbariin statistikiin medeelliin emkhtgel/ bolovsrol, soyl, shinjlekh ukhaanii yam/ 2004)