『すぐに役立つモンゴル語会話』番外編
モンゴル草原の国だより Vol.6
モンゴルの民族服 文:津田紀子
テン・ブックス刊行の「すぐに役立つモンゴル語会話」を編集してくれた 津田さんが、ご一家そろってウランバートルで生活されることになりました。 そこで、モンゴルのいろんなトピックをおたよりで紹介してもらうことにしました。 ご質問もお待ちしています。 >>mongol@ten-books.jp

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今回は、モンゴルの民族服、デールについてご紹介したいと思います。

デールとは、立ち襟で裾の長いモンゴルの衣服です。袖に長い折り返しがついているものもあります。着脱は簡単で、右肩と右脇のボタンをとめるだけ。このデールを着て、帯をしめ、下にズボンとブーツを履いて、帽子をかぶる、これがモンゴルの伝統的なスタイルです。ハルハ族、ブリヤート族など民族ごとに少し形が異なりますが、基本は、ほぼ同じです。(写真右)

デールには、晴れ着と普段着があります。晴れ着は、ナーダム(競馬、相撲、弓技の技を競い合う祭り)やツァガーンサル(旧正月)、結婚式など、お祝いの時に着るデールで、たいてい高価な絹でつくられます。普段着は、家畜の放牧や普段の生活の中で着るデールで、多くは木綿でつくられます。



また、夏用と冬用があり、夏用は、薄い布の裏地をつけただけなのですが、冬用はマイナス30-40度の寒さにも耐えられるように、内側全体に子羊の毛皮を縫い付けます。大人のデールだと約30匹もの子羊の毛皮が必要になるので、そんなに頻繁につくることはできません。寒さや病気で死んだ子羊の毛皮をためておき、何年かに一度新調するのだそうです。(写真左)



ちなみに男性には、渋めの茶色や灰色のデールが、女性には明るくて華やかな青や赤、緑色のデールが好まれます。

さて、このデールですが、モンゴルの気候と遊牧生活に適したさまざまな特徴を備えています。

まず、立て襟と長い裾は、太陽の光をさえぎって体の水分を保つとともに、寒さや風から身を守ってくれます。それから、袖の長い折り返しは、伸ばせば驚くほど長く、馬穫り竿や手綱を握った手を保護する手袋になります。(写真右)

また、布団にしたり、寒い季節に生まれた子家畜をくるんだりといった使い方もされますし、草原で用を足すときに、裾をふわりと広げてしゃがめばトイレにもなります。このように、デールは、モンゴルの気候と暮らしにあった、とても便利な衣服なのです。

近年、ウランバートルの人々は、デールを着ることが少なくなりました。しかし、草原に暮らす遊牧民は、今でもデールを日常的に着用しています。

それでは、今回はこのへんで。

バヤルタイ。