『すぐに役立つモンゴル語会話』番外編
モンゴル草原の国だより Vol.4
モンゴルの食生活 文:津田紀子
テン・ブックス刊行の「すぐに役立つモンゴル語会話」を編集してくれた 津田さんが、ご一家そろってウランバートルで生活されることになりました。 そこで、モンゴルのいろんなトピックをおたよりで紹介してもらうことにしました。 ご質問もお待ちしています。 >>mongol@ten-books.jp

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モンゴルは、秋もすでに終わり、冬の足音が聞こえるようになりました。本格的な寒さを目前にしたこの時期、草原では冬を越すために最低限必要な家畜の屠殺を行います。そうして、夏の間は乳製品がメインだった遊牧民の食卓は、この時期を境に肉料理がメインとなります。

今回は、モンゴルの食生活についてご紹介したいと思います。

まず、秋に屠殺(とさつ)された家畜の肉は、冷凍保存あるいは干し肉にして保存されます。その肉をそのまま塩ゆでにしたり、小麦粉といっしょに蒸したり焼いたりして、さまざまな料理をつくります。その中からいくつか代表的なものをあげてみましょう。

■ ボーズ(蒸し餃子)

日本の餃子よりも少し厚手の皮に、調味料(おもに塩)で味つけをした肉を包みこんで、蒸したものです。皮の中にたまったアツアツの肉汁をこぼさないようにすすりながら食べるのが、モンゴルらしい食べ方です。
ボーズ(蒸し餃子)
■ ホーショール(焼き餃子)

大判の餃子の皮に、調味料(おもに塩)で味つけした肉を包み、平たくして焼いたものです。作りたてのホーショールは、皮がパリッと香ばしく、大変おいしいです。
ホーショール(焼き餃子)

■ チャナサンマハ(ゆで肉)

骨付き肉をゆでて食べる豪快な料理です。ゆであがった肉片を手に持ち、もう一方の手に持ったナイフでこそげながら食べます。
チャナサンマハ(ゆで肉)


■ ゴリルテイシュル(うどん)

小麦粉からつくった自家製麺の肉入りうどんです。
ゴリルテイシュル(うどん)


このほかには、ツォイウォン(焼きうどん)やバンシ(水餃子)といった料理もあります。

日本では、一回の食事に何種類もの料理が並びますが、モンゴルでは、たいてい一種類だけですませてしまいます。

また、伝統的なモンゴル料理では、野菜をあまり使いません。 野生のネギやニラを刻んで肉料理に加える地域もありますが、国全体が野菜の栽培に不向きな環境にあり、入手が難しいことが大きな理由でしょう。

日本人からすると、肉と小麦粉が中心の食事で、すべての栄養を補えるのだろうか、などと心配になってしまいますが、夏の間にしっかり食べる乳製品や、毎日飲むお茶により、必要な栄養を補っているそうです。 また、「天然の草を食べて育った家畜の肉を食べているのだから、肉を通じて草の栄養分を取り入れている」などという話を聞くことも……。

このように、肉と小麦粉、それから調味料としては塩がメインとなるモンゴル料理は、一見、非常に素朴に見えるかもしれません。ですが、実際に食べてみると、いろいろな味付けが加えられていないぶん、肉そのもののおいしさが直に伝わり、とてもおいしく感じられます。

いっぽう、都市で暮らす人々は、野菜が手に入りやすいぶん、遊牧民よりは野菜を取り入れた料理を食べてきましたが、根本は伝統的な肉料理を中心とした食生活を送ってきました。しかし、近年、都市の食生活には、さまざまな変化がおきています。それについては、また次回お伝えしたいと思います。

それでは、また。

バヤルタイ。